回目

VOL.
2021/09

気候変動ニュース

最近の異常気象について 

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地球の平均気温は、産業革命前に比べて既に1.2℃上昇しています。

この1.2℃の気温上昇によって世界の気候が変わり始めています

 

1.2℃の温度上昇で起きること

①気温が1℃上昇することにより、空気中の水蒸気の量が7%増加すると言われています。水蒸気が多くなることで普段雨が降る地域で雨がより多く、より長く降ります


②雨が普段あまり降らない場所では、温度上昇が更に地中の水を奪うことにより、乾燥が悪化し、干ばつを引き起こしてしまいます


③北極の気候が温暖化し、北極と南の低緯度地域との温度差が少なくなることによって、ジェット気流の波が大きくバラついてしまうと言われています。それによって低緯度の地域に異常気象がより多く発生してしまいます(下の図をご参照ください)。

上記の3つの要素以外にも、気候パターンが変わることによって、
天気が極端になる傾向があり、異常気象の発生が世界的に増えています。


たとえば、
もともと雨が多いところにより長く続く雨が多く降って洪水に繋がる。
もともと乾燥気味な地域の乾燥状態が悪化し干ばつに繋がる。
もともと台風が上陸する地域でより強力な台風や嵐がより頻繁に発生する
などなど


このまま温室効果ガスの排出を続けると、

2100年の気温は4.8℃も上昇すると予測されています。


そうならないように、世界の国々は、パリ協定で「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という長期目標を掲げ、脱炭素社会への移行を進めています。


気温が1.2℃上昇して気候が変わったことで、今年も世界中で異常気象が発生しました。
私たちは、脱炭素社会に向けてできるだけ早く行動する必要があります
例えば、電気を太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使ってみるなど、できることから始めてみませんか?



最近の異常気象

トルコとギリシャの山火事(8月)

7月下旬にトルコ南部の沿岸地域で大規模な山火事が相次いで発生し、8月6日現在も続いています。この火災で過去最大規模の面積が焼失し、消防士を含む8人が死亡しました。火力発電所にも火が燃え移っており、有害ガスの拡散が心配されています。

ギリシャも過去数十年で最悪と言われる熱波に見舞われており、山火事が発生し続けています。


米国とカナダにおける記録的な熱波(7月)

米国のカリフォルニア州とカナダの多くの地域では、50℃までの記録的な熱波が発生し、州の一部の地域では平均よりも10〜15℃気温が高くなっています。


ドイツの洪水(7月)

ドイツ西部で洪水が発生し、少なくとも120人が死亡し、数百人が行方不明となっています。記録的な降雨により、川が堤防を破壊し、地域を壊滅させました。

被災地を訪問したメルケル首相は、今回の洪水をはじめ最近の自然災害は気候変動と関係しているとし、「気候変動への対策を急がなければならない」と気候変動との断固たる戦いを呼びかけました。オランダ、ルクセンブルグ、スイスも影響を受けています。


熱海市の土石流(7月)

7月1日から3日にかけて強い雨が長時間降り続け、大量の雨が地中に浸み込んで地盤が緩んだことで、土石流が発生しました。死者は22人となり、5人の行方がまだわかりません。


バングラデシュの洪水(7月)

バングラデシュでモンスーンによる豪雨が続いており、90万人以上の難民が暮らすコックスバザールでも被害が拡大しています。洪水や地滑りで20万人以上の難民が被害を受けています。


中国の洪水(7月)

中国の河南省中央部で発生した洪水による死者は300人を超え、約50人が行方不明のままです。約1300万人が影響を受け、約9,000戸の家屋が被害を受けました。鄭州市では洪水が市の地下鉄システムに浸水し、車両が流されました。


インドとバングラデシュのサイクロン(5月)

サイクロンタウクテとサイクロンヤアス、2つのサイクロンが1週間以内にインドを襲いました。約20万人が避難し、150人以上が死亡しています。隣国のバングラデシュでも被害がでました。


アフリカの干ばつ

マダガスカル南部は現在、干ばつや砂嵐によって引き起こされた数年で最悪の飢餓危機を経験しており、多くの農地が不毛になっています。状況は非常に悲惨で、通常は作物の害虫と見なされているイナゴが多くの人々の生存の源となっています。マダガスカル南部では約135万人が食糧不足に苦しんでいます。